亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

報せる?

何を?




何を言えば良い?







この不安が何なのかなど、分からない。
けれど………ローアンの中の何かが、激しく訴えていた。叫んでいた。


―――逃げて…と。






















「………ゲイン侯爵家は未だ揃わず…か。第三貴族様が遅刻とは……祝辞は何処のどいつが述べてくれるんだ?………アレクセイが…死ぬ気で作ります、って言っていたんだがな……式は?」

「はっ。あと小一時間程で始まります。……オーウェン様、そろそろあちらの召し物に…」

御付きの家来が指差す方には、豪勢な花婿の衣装があった。

オーウェンは眉をひそめた。

「………堅苦しい服………首の所開けちゃ駄目?」

「駄目に決まっているでしょう…」

「………………分かりました。……その前にエルシアの所行ってくるわ」

着替えには時間が掛かるというのに……この花婿は式の前になんでこんな軽快な足取りで花嫁に会いに行くのか。

………さり気なく煙管を持って行こうとしている。

「オーウェン様!!式直前に花嫁に会いに行く花婿がこの浮き世の何処にいますか!あちらも支度で忙しい時に何を考えているのですかぁ―………」