亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~




城門の隅に光っていた小さな松明の光。







次の瞬間、その一点がふっと………静かに視界から消えた。


(………?)


………………消えた。








………どうして消したのだろう。



不思議に思っていると、ポツポツと他の明かりも………時間を於いて消えていった。

丘の下から………だんだんと……。

まるで夜の闇が、少しずつ少しずつ、城に歩み寄っている様な…。

「………変ね……何か………おかしいわ…………静かだわ…」



……なんだか不気味だ。
階下で賑わう人々の楽しげな声が、いつの間にか静寂に覆われ、虚しく響いている。


「………ルア………?」

足下で、ルアが全身の毛を逆立て、低い唸り声を発していた。




………言い知れぬ不安が過ぎった。









何か来る。


いや………もう来ている。

すぐそこに。






………堂々とした何かが。


「………お姉様は……エルシアお姉様は……今何処にいたかしら………まだお部屋…」

小部屋から出ようと急いで踵を返すと……扉の前で、ルアが行かせまいと構えていた。

「ルア……やっぱり何かあるのね?……お願い…行かせて………皆に報せないと!!」