亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~





日が暮れた。

赤い弧を描いた夕日は沈黙の森の彼方へと溶け込み、辺りは徐々に薄暗くなっていった。

城の最上階の小さな小部屋で、ローアンは大きな窓から外を眺めていた。


森から伸びた細い一本の道。

そこ一点のみじっと凝視していたが………車は一向に現れない。

………キーツ………遅刻ね。何かあったのかしら?


ふと、丘の下の城門辺りに視線を移す。

何本もの松明の火が掲げられ、城全体がまるで昼の様な明るさで満ちていた。


こんなめでたい日でも、影の対策は怠ることは出来ない。

国家騎士団の兵士達の、およそ半分が城内外に配置されていた。


「ご苦労なことね………ルア、下に戻る?………騒がしいのは嫌いだったわね。じゃあもう少しここにいましょう。………キーツは多分まだ来ない気がするわ」

クスクスと笑いながら、ローアンはルアを撫でた。

















城門前。

「―――松明は………ずっと持っていると疲れるし……暑いな」

「ぐだぐだ言うな。さっさと配置につけ。………俺だって暑い…」
「丘の上の城では豪勢なパーティーかぁ……良いねぇ貴族様は。そんなめでたい日に……俺ら兵士は灯台代わり………笑えるな」