「私は絶っ…対に着ませんわ………花嫁衣装だなんて………引き千切ってやりますわ…」
リネットは邪悪なオーラを醸し出しながら爪を噛んでいる。
エルシアはやれやれと肩を竦めた。
「二人とも、階下のお客様にご挨拶はしたの?………ちゃんとしてらっしゃいな」
「そうでしたわ。……リネットお姉様、行きましょう」
「………紳士面した男ばかり………気が進まないけれど………世間体は維持しなくてはね…」
ぶつぶつと悪態を吐くリネットの背中を押し、ローアンは階下へ向かった。
一階は豪勢に着飾った貴族達で溢れていた。
ローアンとリネットが階上から降りて来るのを見るや否や、全員が揃って頭を下げた。
「………これはこれはリネット様、ローアン様…めでたき日にございますな」
「ご機嫌うるわしゅう、皆様。本日は姉の結婚式にわざわざお越し頂きありがとう御座います」
扇子をパタパタと仰ぎながらリネットははきはきと言った。
今年で13歳になったリネットは、容姿も大人びて誰もが振り替える程美しくなった………が、それに伴い、気の強さも倍増していた。
「………あら……何処の誰かと思えば………タニア伯爵家のご長男…ラッセル様じゃありませんこと…」

