亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「私は絶っ…対に着ませんわ………花嫁衣装だなんて………引き千切ってやりますわ…」

リネットは邪悪なオーラを醸し出しながら爪を噛んでいる。
エルシアはやれやれと肩を竦めた。


「二人とも、階下のお客様にご挨拶はしたの?………ちゃんとしてらっしゃいな」

「そうでしたわ。……リネットお姉様、行きましょう」

「………紳士面した男ばかり………気が進まないけれど………世間体は維持しなくてはね…」

ぶつぶつと悪態を吐くリネットの背中を押し、ローアンは階下へ向かった。



一階は豪勢に着飾った貴族達で溢れていた。
ローアンとリネットが階上から降りて来るのを見るや否や、全員が揃って頭を下げた。

「………これはこれはリネット様、ローアン様…めでたき日にございますな」

「ご機嫌うるわしゅう、皆様。本日は姉の結婚式にわざわざお越し頂きありがとう御座います」

扇子をパタパタと仰ぎながらリネットははきはきと言った。

今年で13歳になったリネットは、容姿も大人びて誰もが振り替える程美しくなった………が、それに伴い、気の強さも倍増していた。

「………あら……何処の誰かと思えば………タニア伯爵家のご長男…ラッセル様じゃありませんこと…」