亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~













―――…紅茶は温くなっていた。
構わず口に運ぼうとすると、さっとアレクセイがカップを取った。

「………おやおや…いつの間にこんなに温く………昔話とは、なかなか時間がかかるものですな。………新しいものに換えましょうか」

「………本当だな………随分経ったな………どおりで腰が痛いわけだ。ずっと同じ体勢でいたからかな………」

ちらりと足下に目をやると、ルアは寝息をたてていた。


………俺の足の上に乗るなよ…とキーツは苦笑した。



「キーツ様、次はどの紅茶に致しますか?」

部屋から一端出て行こうとするアレクセイに、キーツは頬杖を付いて微笑んだ。


「……任せるよ。お前の作る紅茶は…昔から何でも美味い…」

「………恐縮ですな。……そう言われると、手抜きなんぞ出来やしません」

ハッハッハと軽く笑いながら、アレクセイは部屋を出て行った。

キーツは一息吐いて……目を閉じた。














―――約束。





大事な……



大事な。


















………約束は………あの日を境に消えた。












全部















奪われた。