亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



同じ風。

同じ香り。


そしてやはり………彼女がいる。








何も変わらないこの空間で、僕らだけが変わった。







「―――なんだか懐かしいわ…ねぇ、キーツ」

ローアンが不意にこちらを振り返った。


まだ少女のローアン。でも何処か大人びていて………綺麗だ。

「……懐かしい…ね。何年前かな?………初めて会ったのは…」

「………もう五年よ。………五年も経ったわ。………あんまり変わらないわね」









クスクスと笑うローアン。……何度その笑顔に励まされ、心揺さぶられたか。










数えても数えても…切りが無いくらい…。



















―――僕は、何度も君に恋をした。














「―――…どうしたのキーツ。…ほら、こっちに来たら?ルアが遊びたがっているわよ」


ローアンはキーツに近寄り、細い手を差し延べてきた。

促されるままその手に自分の手を重ね、クッと手を引かれた。








花畑に足を踏み入れる寸前で、キーツは立ち止まった。





急に足を止めたキーツに、ローアンは首を傾げる。





「………キーツ?」