亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~






山の緑も、青い空も、川のせせらぎも、全て真っ白に、凍て付く冬。



一歩外に出れば、髪の先が凍り付く。


一年の内たった三ヵ月だけのこの冬。

毎日毎日同じ風景で、雪は降り止まない。

倍の半年…それ以上長く感じる。


そんな不快な冬が終わろうとしていた頃、キーツは入城を許された。

最後に城に来てから、およそ四ヵ月振りのことだった。
年が明けてから初めて会うことになる。

久しぶりに会ったローアンは、なんだか憂鬱な表情を浮かべていた。


………影の出没のせいで、近頃あまり穏やかな日々を送れていないらしい。

今年はエルシアとオーウェンのめでたい結婚の年なのに、とローアンは溜め息を吐いていた。








家来達が厳重に警備している謁見の間に、ローアンは何の躊躇いも無くずかずかと入った。


………扉の両端に立つ兵士の視線が痛い。

キーツは慌ててローアンの後に続いた。










中には誰もいなかった。



見せたい物がある、と言われてついて来たキーツだったが………謁見の間に入るのはこれで二度目だった。



静かな空間。


中央奥にそびえる縦に長い立派な玉座は、今は主無き単なるオブジェに過ぎない。