亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



………ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…とリネットとオーウェンは肩で息をしながら額の汗を拭った。

両者とも、一歩も引かない。

………あ、明日は剣の稽古の日だっけ?
楽しみだなぁ―。



一人ぼんやりとしていると、背後のドアからエルシアが入って来た。

よく分からない論争からオーウェンはいち早く離脱し、エルシアの元に駆け寄って人目を気にせず抱き締めた。

リネットは甲高い悲鳴を上げていた。

幸せそうな二人を遠巻きに眺めながら、キーツは溜め息を吐いた。








婚約………出来るだろうか。



















―――婚約を……ローアンに申し入れたいというキーツの焦燥感とは裏腹に、その頃から城内は慌ただしくなり、城に行く回数が徐々に減り始めた。

















毎日のように聞くようになった………『影』の存在。







人気の無い密林や、国境の火山地帯でしか現れなかった影が、最近になって村や街に………なんと城の周りにも出没するようになったらしい。






出没する度に国家騎士団の兵士達が動き、城壁の外は悍ましい悲鳴が絶えなかった。








キーツは屋敷で一人、空しい時を刻んでいった。