「………殿方とはどうしてこう行儀がなっていないのかしら?………はぁ………………………見苦しくてよ、御二方」
ギラリ、とリネットは二人を睨み付けた。
突き刺す様な視線にオーウェンは冷や汗を浮かべているが、キーツに至ってはもう恐怖でガタガタ震えている。
トラウマになりそうだ。
アレクセイは空になったリネットの紅茶カップを新しいのと交換した。
「………なぁリネット……男嫌いなのは分かるが………そんなに毛嫌いされるとな…………目で殺せるぜ…」
オーウェンは溜め息混じりに苦笑いを浮かべたが、当のリネットは鋭い薄ら笑いで扇子の先をテーブルに突いた。
「嫌いなものは嫌いですもの。殿方など………見ているだけで腹が立ちますし、腕の一本や二本折って両足を縛って頭を丸刈りにして物も言えない状態にして何処かに捨ててしまいたいですわ」
………三人は無言だった。
キーツは頭を抱え、「御免なさい」をずっと連呼している。
「………じゃあ結婚しないつもりか?独身のお姫様なんて聞いたこと無えぜ?」
「ならば私がその初めの一人となりますわ」
頑としてリネットは独身を貫くつもりらしい。
………女王様の悩みの種に違いない。

