「…なぁアレクセイの爺さんよ………あんたのご主人は何処でこんなヘタレコースを選んじまったんだ…?」
「………私にも分かりません………お強い方に育てたかったのですが……いやはや、想定外ですな。遺伝で御座いましょう…」
「本人のいる所でそんな事話すなよ!悪かったなヘタレで!」
いつの間にかアレクセイにさえ素をさらけ出しているオーウェン。そして気が合うのか、よくこうやって世間話をしている。
僕の中傷も。
「……場所を考えろとか言ったのは誰だったかな―?」
オーウェンはにやにやしながら、ソファで小さくなっているキーツを見下ろす。
「………そうだけど………。………待て…言ってない!言ってないし!思っただけだし!心が読めるのか!?あんた何なんだ!!」
肩を竦めるオーウェン。
入城してきた時の紳士振りは何処へ行ったのか、今はコードタイを緩みに緩め、前をはだけて扇子でパタパタ仰いでいる。
皺一つ無かったコートは無造作に尻に敷かれている。指先で赤いピアスを弄りながら大きな欠伸をしていた。
これが……これが…世に名高い第一貴族のヴァンニ家……。
こいつの代で終わりだ!馬鹿野郎!

