ふんわりとした笑顔を浮かべ、厳重に家来に囲まれてその場から去って行った。
ローアンは遠くなっていく母の後ろ姿をぼんやりと眺め、怪訝な表情を浮かべた。
「―――…何かしら。………お母様ったら………またよく分からないことを…」
………さすが女王様。………伊達に一国の王を勤めていません。
「そ…そうだね………陛下もお疲れなんだよ………そういう事にしておこう……」
タイミングとか勢いとか勇気とか根性とか、全部吹っ飛んだキーツは、ただうなだれていた。
………まだローアンの手を握っていた事に気付き、慌てて離した。
「………キーツ、そういえばさっき………何か私に言おうとしていなかったかしら?」
思い出した様にローアンはキーツの方に振り返った。
「………………な、何でもない…………………………何でも無いんだ…」
キーツは微笑を浮かべる。
「………また今度………ちゃんと言うから…」
先程と同様、真剣な面持ちでキーツは言った。
ローアンは訳が分からなかったが、なんだか妙にキーツが大人に見えて少しおかしかった。
小首を傾げながら微笑んだ。
「………そう?…………じゃあ、次はちゃんと言ってね」

