亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

真っ直ぐな、強い視線。

ローアンは黙ってキーツと向かい合っていた。
………こんな彼を、見たことが無い。一体どうしたのだろうか。

向けられたまなざしは小刻みに揺れている。小さく開いた口は、何かを伝えようとパクパク開閉を繰り返していた。

「………キーツ…」

「―――あのっ!………僕は………僕は……」

キーツは不意にローアンの手を取った。

………大きい手だ。ちょっと前まではそんなに変わらなかったのに。

優しく、しかし力強く包まれる手。












キーツは小さく息を吸った。













「―――僕は………僕は…ローアン……君が…!」



―――バターン。










「早々に対策を練らねば…」

「まず各貴族に伝達すべきで…」

「今年は天候が安定しておりますから昨年よりは…」

「売買されているルートをつき止めねば…」

「懸賞金はどれ位上げましょうか?」

「あ―……長時間の会議は腰にきますな…」






………傍らの謁見の間からぞろぞろと大臣らが会議を終えて出てきた。






………。











「……………」


「―――――」