冷や汗だらだらのキーツは笑顔で、やはり吃る。
「………嘘おっしゃい。絶対何かあったのね………違うの?どうして私に対してそんなによそよそしいのかしら?………どうして目を逸らすの…」
覗き込む様に見上げるローアン。キーツはやや顔を赤らめて思い切り顔を背けている。
「………それとも私が何か言ったのかしら?……なら正直におっしゃって。………分からないわ……私が嫌いなの?」
そう言うと、キーツは激しく狼狽した。
両手と頭を横にぶんぶん振る。
「――ち……違う!き、嫌いじゃない!嫌いなんか…そんなこと………」
「……じゃあ何ですの?嫌いじゃないならそんな風に避けたりしませんわ…」
「……本当に違うんだ!………嫌いなんかじゃない………僕は…………僕は………」
だんだんと口ごもるキーツ。
何故か顔がさっきよりも真っ赤だった。耳まで赤い。
横に降ろした両手の拳は強く握られ、ほんの少し震えていた。
不思議に思って、ただ無言で見ていると、キーツは突如顔を上げた。
相変わらずその赤さは変わらないが………何処か真剣なまなざしがそこにはあった。
「―――……あの………!………………あの……ローアン…」

