亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


とは言うものの、今のところ適格な対策など無い。

影に関して、分かっている事が少な過ぎるのだ。

光や熱を嫌う、核となる目玉が急所という事だけ。

死体は燃やせ、明かりを絶やすな。………それしか策は無い。


どういう生き物なのかさっぱりだ。


………理由も無く殺された、魔の者達の呪い。
人々はそんな根も葉もない噂を口にしているが……。


(………あながち…間違っていないのかもしれませんね……)


狂王と呼ばれた、今は亡き父の悪行。

女王はちらりと、玉座の真後ろに視線を移した。



背後にひっそりと佇む、巨大な赤い石。まるで墓石の様だ。








………魔の者達の血で染まった……不気味な碑石。













全ての災難はこれから始まり、そして……これは終止符を打つ鍵なのかもしれない。














その内………天罰が下るわ。










大臣達が互いに討議し合う中で、女王は独り、目を伏せた。
















………この玉座は……高過ぎる。