亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

キーツはこのベルトークとかいう男が嫌いだ。




………見下した様な態度。

気に食わない。



ベルトークはキーツを一瞥し、すぐにクライブに視線を移した。………今やベルトークにとってキーツは風景の一部と化したに違いない。


「………塔にて、軍部大臣から軍議の収集が掛かりました。………すぐに御戻り下さい」

「………軍議…か。………用件は分かっている。では戻るとしよう。………キーツ様、これにて私は……」


深く頭を下げ、ベルトークが姿を消した黒煙の中に、すっと同じく入って行った。



















「………騒々しい事です………何もかも」


整然とした城内。


中でも、謁見の間はぴりぴりと張り詰めた空気を帯びていた。

神々しい玉座で、女王カルレットは呟きながら重い溜め息を吐いていた。





「………国民の不満も……以前に増して高くなっております。………一部の街では魔獣、野獣フェーラの売買、酷いものでは女子供の人身売買なんぞも……」

「……賊も増えている様で…。被害届が後を絶ちません…」

「生態系の変化も問題ですぞ………近年、ワイオーンの数が異常に増大しております。………懸賞金は出しておりますが…」