亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

その傍らにキーツも腰掛けた。

………倒れた拍子にぶつけた片足がガクガクしている。

「………申し訳ありません。……稽古と分かっていても……剣を握るとつい…」

この男は一応反省はしているようだが、何回この台詞聞いたっけ?
………生傷が絶えません。まあ……身体は頑丈になってきたけれど…。

「別に良いよ。慣れたから」

花壇にズボッと剣を刺し込み(ばれたらアレクセイに説教されるが)、一息吐いた。


「………何か気に掛かる事でも?」

「………え?」

光の無い虚ろな眼光がキーツを映していた。……何だか全部見透かされている様な。

「………剣が交わっただけでそんな事が分かるの?」

「勿論ですとも。………相手の動き、振りかざす剣の速さや重さ、視線の先………それだけで、相手の力量以外に心理も手にとる様に分かります」

「………へぇ……クライブは本当に全部見えていそうでなんだか怖いや」

軽く笑い、キーツは中庭の景色に目を移した。














静かだ。















穏やかな空間。


















「なぁクライブ……」

「はい」










「………政略結婚って…どう思う?」