亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~















―――…何?













―――…ローアンと















―――………ローアンと………結婚…??

















―――結婚??


















―――け…
















腰が抜けたキーツはそのまま扉を開け放ち、どてっと前に倒れた。




………父とアレクセイは無言でキーツを見ていた。



「………キーツ坊ちゃま、大丈夫ですか?………立ち聞きは良くありませんよ…」


アレクセイがキーツに手を貸すと、キーツはそれを振り払い、自分で立とうとした。


………生まれたばかりの子鹿みたいな…おぼつかない動きだった。

漸く立ち上がったキーツは………放心状態だった。
アレクセイが呼んでも、頭を小突いても、反応は無い。



「―――…やはりショックが大きかったか………政略結婚など……」

再度溜め息を吐こうとした父に、キーツは頭を横に激しく振った。


「……と…ととととととんでも御座りませ…ん……父上……………ああああああ…あの………ぼ、僕は………ロ………ローアン………と…………………け…けけけけ…けっ…」