亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



―――全員って…。







囲んでいる人間は何人いると思っているのか。

ぱっと見たところ、50人弱。

全員は無理だ。ましてや相手は軍人とかいう奴等。




―――物凄く、不安だ。身体が妙に寒い。







「………嫌……全員なんて…」


瞬間、頭を壁に押し付けられた。

…ちょっとくらくらした。


「―――嫌?嫌だって?………何馬鹿なこと言ってやがる……こっちは命かかってんだよ……さっさと行け…全員じゃなくても良い。注意を逸らすだけでも良いんだ…」

押し付けられたまま、思いきり殴られた。唇が切れる。


「………良いかお前ら…こいつが出た後、一斉に走るんだ。後ろを走る奴は気をつけろよ…」

「………よし…全員武器持て…」








皆………ここから出る。










あたしは?






あたしは……どうなるの?







「アベレット………あたしは?」









未だに離してくれない手の隙間から、小声で言った。



髪を掴まれ、ぐいっと引き寄せられた。



………お酒臭い。煙草臭い。







血眼のアベレットが、目と鼻の先で笑っていた。




「……はぁ?…お前は死ね」