―――全員って…。
囲んでいる人間は何人いると思っているのか。
ぱっと見たところ、50人弱。
全員は無理だ。ましてや相手は軍人とかいう奴等。
―――物凄く、不安だ。身体が妙に寒い。
「………嫌……全員なんて…」
瞬間、頭を壁に押し付けられた。
…ちょっとくらくらした。
「―――嫌?嫌だって?………何馬鹿なこと言ってやがる……こっちは命かかってんだよ……さっさと行け…全員じゃなくても良い。注意を逸らすだけでも良いんだ…」
押し付けられたまま、思いきり殴られた。唇が切れる。
「………良いかお前ら…こいつが出た後、一斉に走るんだ。後ろを走る奴は気をつけろよ…」
「………よし…全員武器持て…」
皆………ここから出る。
あたしは?
あたしは……どうなるの?
「アベレット………あたしは?」
未だに離してくれない手の隙間から、小声で言った。
髪を掴まれ、ぐいっと引き寄せられた。
………お酒臭い。煙草臭い。
血眼のアベレットが、目と鼻の先で笑っていた。
「……はぁ?…お前は死ね」

