亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~







すぐに軍議は始まった。

次の戦は二月後。

この戦争がちょうど六年になる日だ。

「………その日って確かトウェインは誕生日だよな…」

「………そうだな…」
十歳になった日に戦争が始まった。それからは忘れようにも忘れられない日となった。

「………総隊長も直々前線にお立ちになるとのことだ」

トウェインとジスカは目を丸くした。

………総隊長が?

「………俺、あの方が戦うところって見たことないんすけど…」

当然だ。総隊長は戦に出るどころか滅多に人前に姿を現さない。
大半の部下達は彼の顔も知らない有様だ。

居るのか居ないのかも分からなかったため、過去にイブが、「実は総隊長は亡霊で……」と総隊長幽霊説を流したこともあった。
(半数が信じてしまった)


「総隊長は………お強い。並の兵士は相手にならん…」

トウェインは遠い昔を思い出して言った。

…………元国家騎士団の先鋭部隊隊長……剣術に長けており、その上魔術も使えるのだ。

最強では…。


「それまでに自分達の部隊を強化しておく様に。詳細はまた後日だ…以上」





「……今日はゴーガンのおっさん…まだ見てないな…」

軍議が終わった後の帰り、ジスカがふと気がついた。