静かな廊下に出ると、ゴーガンは先を歩くベルトークの肩をぐいっと掴んだ。
ベルトークは相変わらずの無表情でゴーガンを睨んだ。
「………何だ…」
「……お前…知ってるんだろ………総隊長の言っている…」
―――訪れる時。
―――二ヵ月後の意味。
………ゴーガンには分からない。しかし………目の前のこの男は知っている。分かっている。
………いつもそうだ。
俺は………何処かで二人と外れている。
………総隊長の態度もそうだ。
…俺もこいつも……同じ弟子なのに…。
「……何の話だ………」
「………惚けるな……なんでお前が………。………俺は……」
なんでお前だけ……あの方の近くにいる?
俺は……いつの間にか置いていかれている。
あの方の考えている事が……いつからか…分からなくなった。
だから俺はお前が……貴様が………!
「………気に食わねぇ…!!」
「―――…私もだ、ゴーガン。………それはお互い分かっているだろう……」
パンッ、と手を振り払い、ベルトークは冷たい笑みを浮かべた。
「…本当に……昔から変わらないな………お前も…私も」
踵を返し、ベルトークは廊下を歩き出した。
……憎らしい背中。
追いつけない。そんな気がした。

