亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「………それが何だって言うんだ!!………俺達はもう騎士団じゃねぇだろうが!!」

バンッ!…と壁を叩いた。壁に小さな亀裂が走った。

「………」

ベルトークはそんないきり立つゴーガンに、無言で冷たい視線を送る。

―――…愚かな。

そう言われている様な気がした。



「………確かに………我々は………既に騎士団ではない。………誠の軍人では………ない。…………………奴等にとっては……汚い裏切り者だ………」

総隊長は肩を震わせて乾いた笑い声をもらした。


深く息を吸い………脱力する様に長く、吐いた。









「………裏切り者……か。……………………………………………………良い響きだ…」


頬杖を付き、溜め息を吐いた。
………低い声で、ぽつりと言った。









「―――………トウェインは…元気か………」

………何故こんな時に…。

ゴーガンは顔をしかめたが、それに対しベルトークは淡々と答えた。

「………はい…まあ………元気ですよ。……初陣で命令違反をして………単独であちらの大将と対峙していた様ですが………」

「……ほお………あの若造に会ったか………………ふふっ…」

総隊長は意味も無く笑った。