「………それが何だって言うんだ!!………俺達はもう騎士団じゃねぇだろうが!!」
バンッ!…と壁を叩いた。壁に小さな亀裂が走った。
「………」
ベルトークはそんないきり立つゴーガンに、無言で冷たい視線を送る。
―――…愚かな。
そう言われている様な気がした。
「………確かに………我々は………既に騎士団ではない。………誠の軍人では………ない。…………………奴等にとっては……汚い裏切り者だ………」
総隊長は肩を震わせて乾いた笑い声をもらした。
深く息を吸い………脱力する様に長く、吐いた。
「………裏切り者……か。……………………………………………………良い響きだ…」
頬杖を付き、溜め息を吐いた。
………低い声で、ぽつりと言った。
「―――………トウェインは…元気か………」
………何故こんな時に…。
ゴーガンは顔をしかめたが、それに対しベルトークは淡々と答えた。
「………はい…まあ………元気ですよ。……初陣で命令違反をして………単独であちらの大将と対峙していた様ですが………」
「……ほお………あの若造に会ったか………………ふふっ…」
総隊長は意味も無く笑った。

