「――え?死にかけの赤ん坊?……あら、本当…」
よく説明されずに連れて来られたらしいマリア。ジスカが抱える赤ん坊を見て、すぐに事情を理解した。
「……なあイブ……いくらなんでもマリアに…」
言い終える前に、抱いていた赤ん坊をマリアにひょいと取り上げられた。
―――え?、と呆然とするジスカ。
マリアは泣かない赤ん坊の頬に触れた。
「………うーん……まだ母乳出るかしら…」
………ええっ…!?
「………あー…マリアって……」
「あら?言ってなかったかしら?……私、元子持ちよ」
衝撃的事実発覚。
いや……ね………まあ26歳ですから……出産経験がある可能性は大ですが………………子持ちに見えません!
ジスカは内心で突っ込みをいれた。
「………だいぶ経つから…出ないかも…」
と言って、おもむろにマントを脱ぎ、軍服の前のボタンを外しだした。
白いブラウスから、更に真っ白な乳房が覗く。
………はっ、と我に返り、周りの男性陣はおろおろしながら、一斉に回れ右をした。
マリアはくすくすと笑う。………人間はこうやって育てられるのに。
赤ん坊は弱々しい動きで吸い付く。
………母乳はなんとか出た。
しかし…吸う力が無かった。

