亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


沈黙の森にそうように、大小様々な村がある。
街と言っても良い程大きな集落もある。影の襲来に備え、夕暮れ時になると外壁は松明とランプの山だ。
昼の様な明るさが、夜の闇に点々とある。




谷にそって行くと、密林から大きく拓けた平面な土地に出た。

やや小さめの村。












…………建ち並ぶ家屋は全て崩壊していた。
煙が燻り、辺りは焼け焦げた臭いと………死臭。

家畜の死体、鳥の羽が散乱し、埃が舞っている。



……混じりあった腐臭に、トウェインは鼻を覆った。

「―――何だ何だ~……山賊紛いの夜襲か―?」

折れた剣や弓の残骸を蹴散らし、崩壊した村に入った。

「………山賊が……こんなに派手に散らかすか?………影だろう………昨夜の群れだ」

昨夜の戦場で、異常なまでに溢れ出た影の群れ。

………この村は運悪く犠牲になったのだ。

「―――死体無し。……皆無。………溶けて影になったか………夜の内に襲撃されたな……」

「………」

外壁には、折れた松明がずらりと並んでいる。

………光を怖がらないのか?

………。