亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

これじゃあまるで……。
トウェインは前を見たまま口を開いた。

「………知るか…こっちが聞きたい………ローアン、ローアンと………何処の誰と私を間違えている……」

「………『ローアン』?」

………女の名前。
………トウェインと間違えた?
瓜二つだったのか?

「………で?………お前は…」

ばっ…と、トウェインが鋭い眼光をジスカに向けた。
………怖いくらいの鋭利な瞳だ。


「―――どうもこうも無い!………私は………トウェインだ!ローアンなんぞ知らん!」

舌打ちをし、トウェインは何処か苛立った様子でジスカを追い越した。

「………」


………とかなんとか言ってるけどよ…。

………結構気にしてんじゃん。

ジスカはトウェインの背中を追った。




―――『ローアン』。







………なんか………聞いたことのある名前だ………。



あやふやな記憶を辿るが、やっぱり先は曖昧で、何も思い出せなかった。





―――…帰ったらこっそり調べてみよう。