亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

どういう事情で寄生させることになったのかは知らないが…。

パラサイトの危険性を一番熟知しているのは彼だけだ。
元々学者肌の彼は、そういう研究をしていたらしい。

………その犠牲者が…マリアなのか…。




トウェインとジスカは並んで列の先頭を歩いていた。

邪魔な草木を剣で切って進んで行く。

………この時でも、二人は口数が少なかった。

「―――」

「………」

トウェインは普段から寡黙な人間だが………何故ジスカまで。


「………」

黙々と草刈りをしながら、ジスカはちらりとトウェインを盗み見た。

物思いに耽った様な、憂鬱な表情。

………帽子から覗く白い頬に、切り傷があった。
………深くはないが……せっかくの綺麗な顔が勿体ない。

「………顔…切れてんぞ…」

「……知っている。……昨夜のものだ」

……昨夜の………。

「………あいつか?………キーツ=ファネル=ゲインか…?」

「………ああ」

「―――」

「………」


………再び沈黙が流れた。

………こう静かだと………落ち着かねぇ…。

胸の辺りが……なんだかムカムカする。……無駄に苛々する。


「………あの野郎と……何話してたんだよ…」

……何言ってんだ俺。