亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「ねえダリル、追いかけっこしない?名付けて………『恐怖!血に飢えた鬼から無事に五体満足で生還出来るか』ゲーム!」

「………イブが鬼なら……ゲームオーバーは確定だね」

「………え―やろうよ~…そこのお兄さん、退屈で死にそうな可愛いレディと遊んでくれない~?」

びくつく隊員。凄い汗だ。

「………止めなって…それよりマリア……もう身体は大丈夫なの?」

隣りに並んで歩くマリアに視線を移した。
マントを羽織っているため、右足は見えない。

「ええ大丈夫。ここ空気が澄んでるから…なんだか気分が良いわ~」

……マリア曰く…パラサイトも光合成とかするらしい。
たまに外に出て日光浴をしたり、月夜は月光を浴びせたりしているとか。

「……それにしても…昨日のマリアの暴れっぷりも凄かったけど………ベルトーク隊長のマリアへの態度にもびっくりした…」

イブは苦笑いを浮かべる……。

「まあ……マリアも半分意識無かったから危なかったし……仕方なかったんじゃないの?」

「でも………平手打ちは無いでしょ…ぱーん…って」

マリアはくすくすと笑った。

「………おかげで目が覚めたわ~」


………マリアにパラサイトを寄生させたのは、ベルトークだ。