亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

(………子供…だが…容赦はせん…)

トウェインはゆっくりと立上がり、身構えた。

相手の武器は短剣二本。構え方から見て…相当の腕だ。

―――……短剣使いと戦うのは初めてだ。………殺れるか?


互いに、じりじりと間合いを詰める。
………こうやってる間刻々と時間が過ぎて行く。



―――…パチッ。






松明の火が小さく弾けた。






―――両者共、地を蹴った………!









「――りゃあ!!………不意打ち!」

いきなり現れたイブが、刃を交えようとした二人に割って入り、リストにラリアットをかました。

「―――ふごぉっ!?」

背中から倒れ、後頭部を強打するリスト。トウェインはふっと笑みを浮かべ、その場から走り去った。

「イブ!…そいつは任せた!」

リストはすぐに起き上がり、後を追おうとした。

その前に、笑顔のイブが仁王立ちして立ちはだかる。

「―――ノンノン、駄~目~。相手はここだよ。選手交代~」

……ふざけた言動のこの人物を、リストはまじまじと驚愕の意を込めて見た。


「………お…女…?」

しかも………子供だ。自分より絶対年下だ。
少女が……あの憎い灰色軍服を着て小馬鹿にした様にせせら笑っている…。