亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


―――解放。








―――マリアを取り囲む兵士達が一斉に………。







天を見上げ、瞳孔が開き、血を吐いた。







立ったままぐったりとうなだれた兵士達。


全員の背中には、地面から生えた太く鋭い木の根が刺さっていた。


根は徐々に刺さった先端から赤く変色し、それに伴うように、兵士達から血の気が失せていく。




―――吸っているのだ。生命力を。





ズッ、と根は半分干からびた死体から抜け、地面の穴へ引っ込んだ。



シュルシュル…と不気味な音を立て、マリアの寄生された右足から細い蔓が、物凄い速さで何本も地を這っていく。


獲物を探すかの様に、触れたものには何でも絡み付いて離さない。側にいたワイオーンにいともたやすく絡み付き、蚕の蛹の様に、頭にぐるぐると巻き付いて行く。
息が出来なくなり、もがくワイオーンから、ゴキン、と首の骨が折れる鈍い音がした。

………動かなくなった身体の至る所から、枝が入り込んで行く。

眼球を押し潰し、口内に侵入し、腹部を突き刺し……。


………干からびて行く。












―――化け物だ。

そこにいる誰もが、そう思った。

―――成長していく。

マリアはこの赤い枝が愛しいと感じた。