亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

諫める者は何処にもおらず、トウェインとイブは塔の上を目指して走った。

塔は全部で十階。
最上階まではかなりあるが、一階一階上る必要はない。

“闇溶け”で姿を隠したまま、入口を見張る兵士の群を擦り抜けた。なるべく松明に近寄らないようにしながら進む。
長い螺旋階段を上り、途中、窓のような吹き抜けを見つけた。

その穴から上を見上げる。………ここから上の階までよじ登れそうだ。

「…イブ、二階から上をどの位任せていいか?」

「九階までいいよ~。あ―ぞくぞくしてきた……両手全部爪がのびちゃったよ~」

「………調子に乗って理性が飛ばないようにな。……よし、七階まで任せる。敵兵を上の階に上がらせるな」

そう言ってトウェインは、吹き抜けに身体を滑り込ませ、壁に手を掛けて上り始めた。

残されたイブは“闇溶け”を解き、階段を上って行く。

「ふんふーん…楽しいな~、楽しいな~…ああもう!歯は疼くし血がたぎるし……」

かなり御機嫌なイブは、装甲兵が見張る二階にスキップしながら向かった。









「即時、塔に向かえ!侵入者から総団長を守るのだ!」

多くの兵士達が塔へ向かって行った。
侵入者は結局見失ってしまった。
どう出て来るか。