亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


有り得ない数だ。周りの兵士達に容赦無く襲いかかって来ている。

飛び掛かって来た獣型の影を、ベルトークは一瞬で薙払った。


火の囲いの中にも、鳥型の影がどんどん入っていく。

まだ中に閉じ込められていた兵士達は、突如現れた影と応戦していた。





………第三者の割り込みで、この戦場は混乱し始めた。










「―――…一旦退け!」

ベルトークは叫んだ。

これでは手に負えない。…影狩りに来たわけではない。


巨大な影が数匹、ずるずると体を引きずり、炎の壁に向かって突っ込んだ。


――ジュウゥゥ―…とそこだけ火が消えて行く。

……光に弱い筈の影が炎に飛び込むとは…。

囲いの火が鎮火した部分から、影が中にずるずると這って行く。






「総員撤退!森に引き返せ!」

うかうかしている暇は無い。

撤退を促すベルトークの脇に、何処に居たのか、ゴーガンが“闇溶け”で現れた。


「どういうことだよ………こんなの聞いてねえぜ!」

苛立ちながら、ゴーガンは部下に襲いかかろうとした影を後から真っ二つに両断した。

「知るか………兵を撤退させろ。ジスカにも思念伝達で伝えておけ……作戦は一時中断、総員撤退と…」