亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


六年前のクーデター。
あの日は………結婚式だった。



王族で受け継がれている真っ赤な花嫁衣装。

それを着たエルシアを見ることは、無かった。














「一つ忠告しとく…」


―――ギリッ…とオーウェンは歯を食いしばった。

爛々と光るオレンジの瞳は、殺意の塊だった。











「エルシアの名前を………あんたが言うんじゃねぇよ…!!」







―――ベルトークは動いた。

光速のごとき速さでオーウェンに近付き、剣を頭上に翳した。







「愚かな………死ね」











スッ…とオーウェン目掛けて振り下ろそうとした。









その途端、二人の周りの薄暗い闇が、ぐらりと揺らいだ。






「………ちっ…」

ベルトークは咄嗟に身を引いた。次々と現れる、真っ黒な異物。

「……ああ?……なんでこんな時に影がうじゃうじゃ出て来るんだよ…」

オーウェンとベルトークの周りに、何処から湧いて出て来たのか…約100…いや、150の影が二人を囲んでいた。

……妙な姿の影もいる。頭上を鳥型の小さな影が飛来していた。



「……いいところだったのによ……なんだよ…この数は」