それまで静かだった城内が、突然騒がしくなった。
塔の遥か下で、松明のを持った兵士達が慌ただしく、行ったり来たり。
「―――侵入者が出た様です………どうやってここに…」
リストは眉をひそめる。
特に気にも止めていない様子のキーツは、松明の明かりに自分の剣を翳しながら呟いた。
「………先程の、妙な魔獣だろ。あれが敵を運んで来たんだ………そうとしか考えられん…」
これは戦争。
どんなに厳重にしても、どんなに警戒しても………隙間から風は入って来る。
敵が侵入してくるなど、当たり前かもしれない。
何が起きても不思議ではない。
「―――そうでないと……つまらないだろう」
果たして敵はこの塔の上まで来るだろうか。
「―――リスト……」
「…?何でしょ…」
「伏せろ」
キーツはリスト目掛けて手にしていた剣を投げた。
反射的に身をかがめたリストの頭上を通り過ぎ、ドスッ……と生々しい音が響いた。
恐る恐る頭を上げ、背後を振り替えると、そこにはいつの間にか、真っ黒な影がいた。
獣型の大きな奴だ。
表に出た赤い目玉に、キーツの剣が深く刺さっている。
「―――影が……ここに…?」
「……荒野の戦場が心配だな」

