亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


それまで静かだった城内が、突然騒がしくなった。

塔の遥か下で、松明のを持った兵士達が慌ただしく、行ったり来たり。


「―――侵入者が出た様です………どうやってここに…」

リストは眉をひそめる。

特に気にも止めていない様子のキーツは、松明の明かりに自分の剣を翳しながら呟いた。

「………先程の、妙な魔獣だろ。あれが敵を運んで来たんだ………そうとしか考えられん…」


これは戦争。
どんなに厳重にしても、どんなに警戒しても………隙間から風は入って来る。
敵が侵入してくるなど、当たり前かもしれない。

何が起きても不思議ではない。


「―――そうでないと……つまらないだろう」

果たして敵はこの塔の上まで来るだろうか。





「―――リスト……」

「…?何でしょ…」

「伏せろ」

キーツはリスト目掛けて手にしていた剣を投げた。

反射的に身をかがめたリストの頭上を通り過ぎ、ドスッ……と生々しい音が響いた。


恐る恐る頭を上げ、背後を振り替えると、そこにはいつの間にか、真っ黒な影がいた。

獣型の大きな奴だ。

表に出た赤い目玉に、キーツの剣が深く刺さっている。


「―――影が……ここに…?」





「……荒野の戦場が心配だな」