亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


マリアは嬉しそうに、癖毛だらけのダリルの頭を撫でた。

「………良かったわ―無事で。急に倒れちゃうんだもの。……あ、耳から血が出てるわ」

「――大したこと無い。……あの獣にはびっくりした………それより今問題なのは、作戦が見事に失敗したってこと……」

第3部隊と合流しなければならなかったのに……台無しだ。

敵は今、必死で自分達を捜索しているに違いない。
幸いなことは、まだ自分達の姿を確認されていないこと。

……この闇の中だ。松明では薄暗い。


「―――それと……影が急に現れた。……今までのとはだいぶ違うタイプの………」

……こんな戦場で影が乱入して来るとは………………これは思ったよりやりにくい戦争になりそうだ。


「―――隊長に知らせないと…」

マリアは意識を集中し、思念伝達に入ろうとしたが………おかしい。上手く出来ない。

「………さっきの獣が邪魔してるんだ……。……不定期な超音波を出して空気の流れを乱している……」

いくら意識を送っても、途中で消えてしまう。


これは……困った。

ならばこれは、直接こちらから会いに行くか……それとも…。







―――…戦争をするか。