亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


鳥型の影は翼を広げ、ダリルを覆い尽くそうと広がった。

ワイオーンの一匹や二匹、軽く入りそうな巨大な口が落ちて来た。


(………こんな時に……!)

腰のベルトに横に付けていた短めの剣を引き抜き、両手で柄の先を持って影の目玉に思い切り突き刺した。
そしてすぐに引き抜く。

悲鳴を上げる暇も無く絶命した影。
ぐらりと傾く死骸を、ダリルは城壁の向こう目掛けて蹴り上げた。






一瞬、集中が途切れて“闇溶け”が解けた。






―――…しまっ…!








ルアの高周波は、異質な気配を逃さなかった。










―――すぐ側の樹木の中。



ほんの少し前には一つ。その後すぐ気配は二つになり……今は一つ………。













ルアは角の青い玉を光らせた。



ルアを中心に半透明な青い光が波紋の様に広がる。



―――高周波。


今までのとは比にならない位の……。








全てを察知するダリルの感覚の、容量を超えた。