亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



(………隊長に教えた方がいいかな…)

たかが一匹………支障は無いとは思うが…。

(………高周波まで出してるし……一応…)

危険、と判断したダリルは、この獣をもっとよく探るべく集中した。







―――だから、気がつくのが遅かった。










―――ぞくり、と背筋に寒気が走る。

曇ったダリルの目が、大きく見開かれた。


「―――…っ…!?」

反射的に背後を振り替えると、襲って来た寒気の原因が目と鼻の先で………蠢いていた。











―――影だ。


しかも初めて目にする鳥型の影。
ねばねばとした翼とは思えない翼をはためかし、枝を伝ってこちらに近寄って来ていた。

中央の空洞から、にゅるりと菱形の目玉が現れる。

こんな影………知らない。奴等は地を這いずる怪物。
………飛ぶ…だと?

目に見えなくとも、感覚を研ぎ澄ませた“闇溶け”の状態のダリルには、その異質な姿が手にとる様に分かった。



………この影……“闇溶け”をしている自分が見えている…!!







影は牙を覗かせた。



………笑っている。







ダリルに向かって、影は糸を引いて飛び掛かって来た。