ダリルは再び息を殺して潜んだ。
……獣の方もこちらに気付いていない。
しかし、本当に何だこの獣…。
ワイオーンじゃない。肺活量の多いあいつらは、こんな穏やかな呼吸をしない。
………初めて聞く音だ。
ダリルが潜んでいる木から、少し離れた塔の脇を、真っ白な獣が歩いていた。
一旦主人のキーツから離れ、ルアは塔の回りを徘徊していた。
気がついた兵士達は自分から身を引いてルアを通す。
………元々、大昔から聖獣は創造神アレスの使い魔とされ、人間から敬われていた存在だった。
現在は非道な人間による乱獲や戦争によって、聖獣は絶滅の一途を辿っている。
だから、国の伝統を重んじる国家騎士団からすれば、これは当然の行為だった。
ルアはキョロキョロと辺りを見回しながら高い城壁を監視する。
頭の角にある青い玉から、僅かな高周波を出す。
………怪しい気配は無い。

