亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

何処に何人いるか、何人死んでいて何人死んだ振りをしているか………はっきり言って目なんか要らない。

眼球など、ダリルにとって飾りに過ぎない。取ってしまおうか…、と本気で思っていた所を……。

『え?そんな駄目よ。目が無くなっちゃったら、ダリル君の似顔絵描く時、目の部分を真っ黒に塗りつぶさないといけなくなるわ~。……今ね、黒が足りないの…』

『………問題そこか、マリア』

……と、タイミング悪く、絵画がマイブーム中のマリアや隊長らの面々に猛反対されたので、敢え無く断念した。


辺りの様子を、視力以外の感覚器官を研ぎ澄ませて窺う。


………敵兵士が十人。心拍数共々安定………こちらに気付いている気配無し。
筋肉の張り具合から、全員城壁の外を向いている………動く気配、無し。


七時の方向から、風が障害物に当たる衝突音………城壁はこっちっと……。


“闇溶け”のまま、ダリルは木から降りようとした。








―――ふと、異質な音が耳に入った。



………何だろう。

一時の方向、約50メートル先を移動している。

………人…じゃない。
獣の類いだ。
………ワイオーンか?