亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


本当なら今すぐにでも、目に付く敵兵共を皆殺しにしていきたいところだが………そんな命令は出ていない。

この厳重な体制だ。

不審な物音を一つでもたてれば、こちらの存在がばれてしまう。

(―――……第3部隊は………ジスカのスカ共はまだか……)

第3部隊と合流する手筈だ。……まだあの火の囲いに手間取っているのか…?


………合流…出来ないのでは…?

“闇溶け”のまま、トウェインは城壁を擦り抜けて戦場と化している荒野を見下ろした。





――…一部分で、乱闘が繰り広げられていた。
凄まじい覇気がここまで伝わって来る。
あれは隊長クラスの人間と………幹部か?
遠すぎてよく見えない。












“闇溶け”で身体が透けている。だから枝の多い樹木の中にでもいられるのだが………身体のあちこちから葉っぱや枝が生えている様で…感覚は無いのだが…なんか嫌だ。

降りて別の場所に隠れようかな…と思い始めたダリル。

ダリルは完全な盲目だ。光など感じない。常にあるのは闇だけ。

そのせいか、別の器官が異常な程発達している。
聴力に関しては、他人の息遣い、血液の流動音、心臓の鼓動……全部聞こえる。
人によってそのリズムは様々で、見えなくとも人の区別はつく。

……彼の優れた部分は、この聴力に止まらないが。