亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~












―――こちらイブ。城壁内侵入完了。…隠れんぼみた―い。

―――…勝手にやってなよ。こちらダリル。無事侵入完了。

―――…こちらマリアです。侵入完了です、隊長。




―――よし。全員無事だな……“闇溶け”は解くな。私は貴族の塔の下にいる。


“闇溶け”の思念伝達で、第4部隊は互いの無事を確認した。

四人とも今はばらばらだ。

城壁内。中央奥の丘の上に聳える、輝く城。そこからだいぶ離れた西側の塔の下に、トウェインは闇に紛れて潜んで居た。


―――…あ、そうなの?…僕もその近く。大きな木の上にいる。

―――…え―…遠いなぁ…あたしは南側の、城門前の茂み。……敵さんが目の前を行ったり来たりしてまーす。………きゃースリル満点…!

―――…イブ…悪戯しちゃ駄目よ。……あ、私はその中間かしら。南西の方、茂みの中よ。


………全員、ほぼ南西に固まっている。


トウェインは息を潜めて辺りを窺った。

……見回り兵、監視兵、塔の上の方では弓兵、整列している百の兵がいる様だ。


………この塔はやけに上層部の警備が厳しい。


………長がこの上にいるのか…?

トウェインは塔を見上げた。

塔はかなり高い。