「………あれは…」

「……………父上を呼べ。……今直ぐだ」
















少年と少女は、高い塔の上で………遥か彼方に見える壮大な光景を目の当たりにしていた。












―――地平線の、遥か向こう。












そこに、天高く昇る………真っ白な、神々しい柱があった。






一筋の光が、暁と共に姿を現した。



「…………創造神アレスが……新たな王を迎えた際に送る……………祝福の光です…。…………………………………フェンネルは、とうとう王を…」

「…………祝福?…………違うな」


少年は柱に寄り掛かり………ニヤリと薄い笑みを浮かべた。










「…………あの光は、戦乱の世を迎える印さ……………………………楽しくなりそうだ…」































「……………………父さん………山の向こうが………光ってるよ…………………何だろう」


積雪に反射する朝日。昼夜問わず吹雪ばかりなのに、珍しく澄み切った、晴れやかな大地の下で、少年は突如現れた一本の白い光を指差した。


「……………………見るものではない。…………………忌々しい光だ………」

「………………遠いね……ずっと向こうだ………」

「……………中に入れ。………………………………我々とは、無縁の世界の話だ……」



























錆び付いていた鎖は解かれ、小さな歯車は………静かに………動き始める。










静かに……。















しかし、確実に。