潰される様な圧迫感が、全身を襲った。
……息が詰まった。
「―――!?………っ………!」
………ゴツゴツとした、木の枝の様な物体が………背後からキーツを束縛していた。
パラサイト?いや、違う。これは…………………………巨大な、手だ。
切り離されて動かなくなった筈の、イヨルゴスの右腕。
黒ずんでいたそれが、突然、動き出したのだ。
………油断した…!
怪物の右腕はしっかりとキーツの身体を掴んでおり、びくともしない。
幸い、胸部から下を掴まれていたため両手は自由に動かせたが…だからといってどうにかなることではなかった。
持っていた剣代わりの武器の切っ先で、太い指を何度も刺すが、本体と切り離されたこの腕にはもはや痛みなど感じないらしく…更に握力を強めてきた。
「……………うっ………っああ………!!」
………握りつぶされる。
ミシミシと、奇妙な音が全身に響き渡る。
……力が抜けていく手から、武器が離れた。
足元から、カランカラン…と虚しい音が聞こえてきた。
呼吸難になる寸前で、束縛する手の力が本の少し弱まった。
………しかし、全身の痛みは相変わらずだ。…直ぐに、両手足が痺れてきた。
「……………っ…………………この……………野郎…………!!」
苦痛に満ちた顔を上げると、こちらに突っ込んでくる体勢に入るイヨルゴスと再度目が合った。
………その目は、笑っている様に見えた。
荒々しい呼吸は、笑い声が混じっているのかもしれない。
………イヨルゴスは裂けた口を大きく開いた。
………来る。

