トウェインは走った。
身をかがめ、風の様に速く。
隊内でも、総隊長、ベルトークに次ぐ駿足だ。
音も無く移動する小さな身体は、一瞬で闇に溶けた。
“闇溶け”で姿を隠したまま、トウェインは城へと向かった。
黒ずんだ曇りガラスの様な視界で、この荒野の状況を見回した。
敵は先発隊を前進させた後、次の兵を放とうとしない。
………指示が遅れているのだろうか?
前を見ると、武器を掲げた第3部隊が前方を走っていた。
………何だ、この違和感は…?
この調子だと……いとも容易く、前衛の第1部隊と第2部隊は城まで行けそうだ。
それにしても……。
………敵が、静か過ぎる。
「―――リスト…」
ルアの背を撫でながら、キーツは呟いた。
リストは素早くこちらに顔を向ける。
キーツは、こちらに向かって来る敵の集団を眺めながら………………笑って言った。
「―――今だ。……………明かりをつけろ」

