「――うわっ!?」
反射的に飛び退いて、スライディングしていく怪物を避けた。
………危うく、食われるところだった。
キーツは足を引き摺り、冷や汗をかきながら距離をとった。
(………剣があれば……)
ちらりと、握っている武器を一瞥する。
………一応剣の代わりとして使っているが……これもあまり保たないだろう。
(………しかし……いつ送れるかも…何処から来るかも…………分からない、か………)
こんなことなら、いちいち剣を鞘におさめておくんだった。
………今更後悔しても遅いが。
(…………ローアン………)
近くにいるのか?
君がいるのか?
君は何処にいるんだ?
こっちに来ては、駄目だ。
君に……敵など作らせてはいけない。
「………守ると…言ったんだ………!」
キーツは足の痛みなど忘れ、突進の体勢に入ろうとしていたイヨルゴスに向かって真直ぐ走った。
……怪物は大きな口を開いて、長い舌を伸ばしてきた。
舌はキーツの持っている武器に巻き付き、吸い付く様に引っ張っていく。
「――このっ……離せ!!」
片足の爪先を地に軽く叩くと……そのブーツの爪先の部分に、小さな刃が出てきた。
そして怪物の伸びた舌の裏目掛けて……蹴りあげた。
小さな刃は戦闘にはあまり向かないものだったが………少し驚かせることくらいは出来た。小さな刃物で裏を刺され、絡まった舌は武器から解けていく。

