亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

城に向かった筈のルアがここにいるということは………?


「………ルア、お前………ローアン様とオーウェン様はどうしたのだ…?………一緒にいたのか?」


駆け寄ったアレクセイは辺りを見回して問うが、ルアは尻尾を振りながらただ首を傾げるばかりだ。


「………この犬から隊長の匂いがする―!…ほーら!近くまで来てるんだよ―!」

ルアを指差すイブは嬉しそうに言った。その口元に僅かな涎が浮かんでいる様に、見えたり見えなかったり。


「………ルア、お前の力で何とかならないか…?………総団長が中にいるんだ……たった、独りで………」




…ルアは視界を埋め尽くす竜巻をじっと見詰めた。
黒の魔力で作られた、巨大な竜巻。
ルアはその厚い風の壁に近寄り………ボウッと角の青い玉を光らせた。


そんなルアの前に、何故か“闇溶け”でダリルが現れ、術の発動を止めさせた。

「ちょっと待った、白いわんコ。………白の魔術でこの風をぶち壊す気…?…………冗談…。…それはまずい……」

急に止められたルアは、首を傾げてダリルを見上げる。

「………何がまずいんだ?」

訝しげな顔で見てくるリストに、君は立派な策士にはなれないね、とぼやいた。

「………いい?……黒の魔力と白の魔力は対照的。打ち消し合い、反発する仲。………純粋な白の魔力をこんな波のある黒の魔力にぶつけるとどうなる?………中和する前に爆発するよ」

「………」

「………でっかい穴は空くだろうさ。ただ………中にいるあんたらの主の安全の保証は出来ないね………」

「………どうすることもままならないのですか……」






肩を落とすアレクセイ。



ダリルはルアを見下ろした。