亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

半身に闇を纏わせて、漆黒の獣に乗った赤い花が、目にも止まらぬ速さで空を切り裂いていく。



開け放たれた口を裂く。

目玉を貫く。

頭を切り離す。




それでも彼等は、満ちていく。


行く手を阻む。


意味も無く。


私一人を食らうために。









きって


きって






キッテイク。












「―――…貴様等…邪魔だあぁぁ!!」



















悲痛な叫びを上げる真直ぐな閃光が、恨みつらみを超えていく。





































一向に、竜巻はおさまる気配が無い。

厚い風の層は電流を走らせて、グルグルと回転するのみ。
普通の壁とは違って、これは自然の力が働いている、完全なる無機質の壁。叩いて切って…壊せるものではない。



「…くそっ!………お前らの十八番の技で中に行けないのか…?」

…あまり頼りたくはないが、リストはダリルとイブに目をやった。二人はただじっと竜巻を眺めていた。

「………駄目だね。…“闇溶け”は空気の流れを掴んで、それに乗って移動したり擦り抜けたりするんだよ?………空気の流れも何も………こんなのに近付いたら……擦り抜けるどころかあっという間に流されちゃうよ…」

「………向こう側と繋がっている穴でもあれば、出来ないことも無いけど―………地盤堅いし……時間かかっちゃうから駄目…」

イブもお手上げ状態と言わんばかりに肩を竦めた。


「…………他に手立ては、無いのでしょうか…?」


すっかり青ざめてしまったアレクセイ。自分を庇ったばかりに…と罪悪感に苛まれていた。