………自分を睨み付ける、ぼんやりとした青い二つの目。
頭上から、竜巻から伸びた、指が欠落した青白い手が………キーツ目掛けて落ちてきた。
………冗談じゃない。
こんな厚い竜巻の中で……天敵と向き合うだなんて。
(………袋の鼠……か…)
武器も無い。
体力も無い。
絶望的だ。
アレクセイやリストは、この外で…無事でいるだろうか。
迫り来る巨大な手を見上げながら、キーツはそんなことを思った。
自分がくたばれば………誰がこの狂犬を代わりに倒すのか。
(―――こんな所で…倒れる訳にはいかない……!)
まだ、死ねない。
キーツは、奥歯を噛み締めた。
「―――…ローアン」
「―――……は……」
吹き荒れる風の中、ローアンは弾けた様に顔を上げた。
突如発生した、遠くからでも巨大に見える黒い竜巻。
ローアンは目を丸くして、竜巻を見詰める。
………衝撃は免れたものの、少し遠くに吹き飛ばされたローアン。上手く着地出来ず、全身を軽く打ち付けてしまったが………剣を地面に突き立て、ヨロヨロと身体を起こした。
「………キーツ……」
彼に、呼ばれた気がした。
彼は……あそこにいる。
あの中に………。
…………いる。

