亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~




………自分を睨み付ける、ぼんやりとした青い二つの目。

















頭上から、竜巻から伸びた、指が欠落した青白い手が………キーツ目掛けて落ちてきた。


………冗談じゃない。


こんな厚い竜巻の中で……天敵と向き合うだなんて。


(………袋の鼠……か…)




武器も無い。


体力も無い。





絶望的だ。

















アレクセイやリストは、この外で…無事でいるだろうか。


迫り来る巨大な手を見上げながら、キーツはそんなことを思った。









自分がくたばれば………誰がこの狂犬を代わりに倒すのか。



















(―――こんな所で…倒れる訳にはいかない……!)
















まだ、死ねない。




キーツは、奥歯を噛み締めた。

























「―――…ローアン」





































「―――……は……」














吹き荒れる風の中、ローアンは弾けた様に顔を上げた。



突如発生した、遠くからでも巨大に見える黒い竜巻。

ローアンは目を丸くして、竜巻を見詰める。

………衝撃は免れたものの、少し遠くに吹き飛ばされたローアン。上手く着地出来ず、全身を軽く打ち付けてしまったが………剣を地面に突き立て、ヨロヨロと身体を起こした。






「………キーツ……」















彼に、呼ばれた気がした。

彼は……あそこにいる。
あの中に………。








…………いる。