亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



イブは腕を組んで、首を傾げた。

少し考え込む様な難しい顔をして、彼女は竜巻を指差し、呟いた。


















「…………中にいるよ、お兄さん」
























「……………う…」



意識が戻った途端、激しい頭痛が襲ってきた。

…同時に、身体全体が痛みに悲鳴を上げた。



………痛い。


………身体が重い。









頭を抱えたまま、キーツはゆっくりと仰向けの身体を起こした。

むき出しの固い地面に、一滴…また一滴と血が落ちて染みていく。………頬傷から、出血する肩から、充分に染み渡って溜めきれなくなった血だらけの服の裾から………。


結った長い髪が、落ち着くこと無く靡き続けている。

………風が吹いて………。

………そうか………確か爆発で吹き飛ばされて……………それから……。



……目を凝らすと、周りは荒廃した景色………ではなく………黒々とした竜巻の壁に覆われていた。





(………?………………何だ…?………俺は今………竜巻の中央にいるのか………?)


聞こえるのは吹き荒れる風の盛大な声。
















そして、低い、低い………呻き。




















反射的に後ろに振り返り、キーツは低い体勢で構えた。

腰に手を伸ばすが……そこにあるべき剣が、無い。


…………吹き飛ばされた際に、何処かに落としてしまった様だ。


「……ちっ…………………………こんな…時に………」

舌打ちをし、呻き声の聞こえた方へ警戒心を強めた。





巻き上がる砂埃と岩や死体の残骸。
この巨大な竜巻の中に、もう一つ。