イブは腕を組んで、首を傾げた。
少し考え込む様な難しい顔をして、彼女は竜巻を指差し、呟いた。
「…………中にいるよ、お兄さん」
「……………う…」
意識が戻った途端、激しい頭痛が襲ってきた。
…同時に、身体全体が痛みに悲鳴を上げた。
………痛い。
………身体が重い。
頭を抱えたまま、キーツはゆっくりと仰向けの身体を起こした。
むき出しの固い地面に、一滴…また一滴と血が落ちて染みていく。………頬傷から、出血する肩から、充分に染み渡って溜めきれなくなった血だらけの服の裾から………。
結った長い髪が、落ち着くこと無く靡き続けている。
………風が吹いて………。
………そうか………確か爆発で吹き飛ばされて……………それから……。
……目を凝らすと、周りは荒廃した景色………ではなく………黒々とした竜巻の壁に覆われていた。
(………?………………何だ…?………俺は今………竜巻の中央にいるのか………?)
聞こえるのは吹き荒れる風の盛大な声。
そして、低い、低い………呻き。
反射的に後ろに振り返り、キーツは低い体勢で構えた。
腰に手を伸ばすが……そこにあるべき剣が、無い。
…………吹き飛ばされた際に、何処かに落としてしまった様だ。
「……ちっ…………………………こんな…時に………」
舌打ちをし、呻き声の聞こえた方へ警戒心を強めた。
巻き上がる砂埃と岩や死体の残骸。
この巨大な竜巻の中に、もう一つ。

