亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

返り血を全身に浴びた、灰色の軍服の集団。
獣と違わぬ双眸は冷たく光る。

闇を絡み付かせながら、一斉に串刺しになっている兵士達から我が剣を抜き取った。

暗い荒野の真ん中に、真っ赤な、屍で出来た歪な直線が引かれた。

びくびくと痙攣する死体を地に払い、踏み付け、血刀をゆらゆらとぶら下げた黒い兵士が城を目指して歩んで来る。


「………惨いことしやがる」

胸糞悪い。
長い三つ編みを背中に押し退け、オーウェンは剣を抜いた。

「……また……城の前は死者で溢れるんだな…」



その光景を、何度見てきたか。







終わりは来るのか?











「…先発隊、全滅……総団長………」

「……まだだ………まだ……機会を狙え」

リストはこくりと頷いた。

















「―――トゥラ………」














「―――遊んでこい」


トウェインは笑っていた。
嬉しくて嬉しくて…堪らない。


トゥラは弾かれた様に地を蹴り、暗い舞台へ躍り出た。