「………………ちょっと見ない間に……色気付きやがって……………………………やっぱあの時…無理矢理でも抱いとけば良かっ…………っ…………………痛ぇ………」
「馬鹿な事を言ってる場合では無いだろう…!…………………だいぶ血が流れているではないか………」
よく見ると、ジスカは血溜まりの中にいた。
………これは全部、彼の血か…。
「…………このままだと…死ぬぞ、ジスカ………何処かで早く…」
そう言いながら適当な場所が無いかと見渡すローアン。
傷口を押さえていた血塗れの手を、ジスカが掴んだ。
そしてあろうことか、その身体を起こそうとしていた。
力の入りきらない腕を突っ張り、小刻みに震えながら上半身を起こした。
「………………総団長さんが危ないぜ」
ポツリと呟いたジスカの言葉に、一瞬ローアンは強張った。
ジスカの指差す方向に視線を向けるその横顔は、不安で堪らないと、語っている。
「…………………タフな野郎だよ。……あんだけ食らっても、まだ走る力が残っている様だが…………それもそろそろ、限界だろうさ。…………………早く行ってやれ、こんな所で道草くってる場合じゃねぇだろ……」
ローアンの手を離し、靡く金髪に付いている花びらを落としてやった。
……キョトンとしていた彼女は、すぐに真剣な面持ちへと変わっていく。
「……………………………しかし……」
「……行けって言ってんだろ。………俺を甘く見るんじゃねぇよ………一国のお姫様に助けてもらおうだなんて………思ってねぇ。……………必要としている奴等に、お前は構ってやれ…!」
「……………ジスカ…」

