(…………重…傷……)
………不安だ。
………会いたい。
…彼に会いたい。
………何処にいるの…?
(………あの召喚獣のいる辺りに………彼は………)
………そんな気がする。
「―――……師団長、ここの守りは任せた」
そう言うなり、ローアンは師団長の横を通り過ぎて、何の躊躇いも無く影の群に歩んで行った。
「…なっ…!………ローアン様!?」
影達は自分を狙っていると知っていながら、あえて標的になろうと大胆不敵な行動を始めるローアンに、師団長は驚愕の声を上げた。
「……お、お止め下さい!!…戦場に行かれるなどと、この敵の中を如何して……!………っ…!」
止めようと伸ばした腕を、脇から飛び出した影が食らおうとし、咄嗟に引っ込めた。
ローアンは前を見据えてゆっくりと歩みながら、辺りに突き刺さっている敵味方の剣を両手に適当に掴んだ。
左右に、ルアとトゥラが並ぶ。
歩みを止めぬまま、ローアンは二本の異なる剣を、構えた。
「―――斬り進む!」
道という道が影で覆い尽くされ、階段の段差も見えない中、ローアンは前を遮る影の群を、問答無用で斬り飛ばしていった。
その動作に、無駄な点は一切無い。
一振りで確実に急所の目玉を貫き、両断し、柄で潰し………道を作っていく。
両脇はルアとトゥラが応戦し、真ん中の我が主に近付けさせまいと唸り、牙をむく。
影達は確かにローアンただ一人を狙っているらしく、城内に侵入しようとしていた影の群は忽然と姿を消し、ローアンに吸い寄せられる様に踵を返していた。

